2.注文住宅だからできること

家を考える、よもやま話

前章に引き続き、住宅設計に関わって得た考察をまとめてみました。

第二章は「注文住宅だからできること」です。

決して既存プランに生活を合わせるのが悪いというわけじゃありませんが。

(むしろ合わせることで自分の理想の人生が始まるかもしれない?)

基本、家は住み手のためのオーダーメイドであるべきと思ってます。

誰でも持っている「ならでは」

前章で、モデルプランに自分の動線を重ねて生活を想像する話をしました。

住宅設計の現場では、大抵の人にあてはまるテンプレ(万人に共通する生活パターン)に住み手独自のオリジナルな動きを加えることでプランを練っていきます。

まずはテンプレの見直しを。

というのは、モデルプランの場合、部屋の大きさ・設備のサイズは最も標準的なものになっていることが多いので、自分の生活に合わせて広げたり削ったり新たに機能を追加したりすることがあるかもしれません。

玄関に置くものは靴や傘だけではありません。子どもの外遊び道具、ベビーカー、部活動の用品、季節用品……。住む人によって置きたいものは驚くほど違います。

洗面室はタオル以外にも、洗面化粧台周辺に置く日常使いのものがたくさんあるし、ランドリー関係のもの(洗剤や洗濯グッズ、洗濯かごなど)も忘れがちです。

また、ドライヤーはどこで使うか、女性ならどこで化粧するかでも必要スペースは変わります。

モデルプランのトイレは大抵最小寸法だけど、小便器や手洗いの追加は必要ですか?それまでの生活スタイル上、欲しくなるかもしれません。

日用品や食料の備蓄、季節関係の収納も思ったより多くて収納スペースが足りないということになりませんか?

生活に必要なスペースの中身を概ね決めてから、その人ならではの要素を追加していきます。

趣味、仕事、介護、ペット、着物、アウトドア用品などがそれに当たります。

これらを生活空間にどのように付け足すか、または取り込んでいくかが設計の楽しいところです。

テンプレが当てはまらない部分こそ注文住宅の価値です。

自分の好きなことを好きなだけやるための場所について、とことん考えてください。

この順番を逆にして独自の要素を優先すると、趣味に没頭するぶんには良くても生活面では不便な家になってしまう可能性があります。

設計者の感覚としては、設備関係は当初計画に追加が入って膨らんでいき、個人的空間は当初は大きく取って徐々に削っていく傾向があります。

図面の外にある暮らし

前項で自分オリジナルの間取りが出来上がりました。

これを元に住宅を建てれば自分だけの家の出来上がり、なのですが、その前にもう少し考えておきたいことがあります。

前章で「住宅という殻に中身を詰めて家になる」と書きました。

住宅が現実のものになる前に、中身についても検討しておきましょう。

間取りは家具を置いて初めて完成します。

平面図だけ見ていると広く見えても、家具が入ると全く違う空間になります。

完成後の住宅に家具を入れようとして、

ソファを置いたら通れない

冷蔵庫が開かない

食器棚が収まらない

ベッドを置いたらコンセントが隠れる

というような事態にならないために。

平面図が完成したら厚紙(色紙とかでも)を手持ちの家具とこれから購入する予定の家具の大きさに切り取ったものを用意して、平面図の上に置いてみましょう。

注意するのは、壁の線より心持ち内側に置いてちゃんと入るか確認することです。

私はよく現場で大工さんに「1mの空間に1mのものは入らんぞ」と念押しされました。

現場でものを入れるときには実物に少しだけゆとり寸法が必要です。

できれば高さについても同様の検討をしておきましょう。

そして変更できるうちに、建具やコンセントの位置を変更しておきましょう。

完成後に「ここが間違ったな」と残念に思いつつ我慢して暮らすことにならないように。

私は自宅を設計するときに冷蔵庫スペースを実寸のプラス3cmで指定して、完成後、入らないと怯える引っ越し業者さんに「絶対に入ります」と断言して納めさせ、拍手されたという実績を持っています。

六畳ろくでなし

設計業界では「六畳ろくでなし」と言われることがあります。

使えない間取りの代名詞みたいに使われています。

「とりあえず六畳」という言葉を重ねて、気づいたら同じ大きさの部屋ばかり。

これがなぜ使えないのか?

部屋の目的が無いからです。

「寝室に6畳」

「子ども部屋に6畳」

「来客用の和室に6畳」

「台所に6畳」

「食事する部屋は食器棚も入るから8畳かな」

「廊下で繋いで出来上がり」

そんなわけないだろ!とつっこみたくなりますよね。

つまらない、使えない間取りの一丁上がりです。

中身の吟味がまったくされていないけど名前だけはある部屋(「寝室」「子ども部屋」とかいうと目的はあるように見えますが、この場合はほんとに名前だけ)に盲目的に六畳と指定することには疑問を感じるし、それ以上に目的のない部屋(来客用とか言うけど)に六畳って、一体何?としか思えません。

(念のため:六畳が駄目というのではなく、何も考えずに「とりあえず六畳」というのが駄目なのです)

寝室なら

ベッドを置くか、畳に布団を敷くか

衣類や布団の収納の収納はどうするか

箪笥を置くか、独立のクローゼットを付けるか

本を置くか、別室で書斎を持つか

最低でもそのくらいのことは考えてから広さを決めましょう。

来客用の和室については、それって必要?というところから考えて。

せっかく作っても元々何に使うか考えてないと、使う予定どころか普段誰も出入りしない部屋になりかねません。 目的のない部屋は、使われない空間になりやすいという話です。

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